ソウル歌手のアル・グリーンは、僕ORITOの音楽人生最大の英雄・恩人・目標の一人だ。
というより、ORITOという存在は、アル・グリーンという名の「広大にしてまさにエヴァー・“グリーン”な樹海」の中の、小さな樹木の1本に過ぎない。僕はとどのつまり、彼のDNAを受け継ぐ数多の子孫たちの一人に過ぎないのだろう。
その証拠に、これまでORITOの歌う楽曲が発表されると自作・客演作を問わず、音楽評論家さんたちがそれに批評を加える際に、最も引き合いに出された常套句が、やはり「まるでアル・グリーンのような・・・」だった。僕が歌うたびに、誰かがアル・グリーンの名を語るのでした。このことは、この10数年間にわたって変わらない事実。僕自身がこのことについては、デビュー当時は呪縛的な重圧を感じたりもしたし、今に至っても大御所アル師の足元にも及ばない自分の実力についての、やるせなさを感じたりもする。
もちろん、それを誇りに思うこともある。だって、実に多くの他の日本人のシンガーさんたちが、アル師の名曲 Let’s Stay Together をCDやライヴでカヴァーして歌っているのを見聞きしてきたが、彼らはそれでも「アル・グリーンのようだ」とはあまり言われたりはしない。 逆に僕は、アル師のカヴァー曲を歌っていなくても、アル・グリーンっぽいと言われる。それに今の日本では、サム・クックやスティービー・ワンダーやマーヴィンやJBやアレサや、R・ケリーやディアンジェロやジョデシーやジョーや、シャーデーやTLCやローリン・ヒルやアリーヤやビヨンセやミッシー・エリオットの後継者は本当に多いんだけれども、その中でアル・グリーンの後継者と見られているのはやはり僕ぐらいだろう。僕はなんだかんだ言ってもアル師の大ファンなんだから、これを喜ばないのは自己欺瞞であると、ようやく最近思えてきた。呪縛から解き放たれてきた。
ただ、だからこその強い念願もあった。「日本の若いR&Bファンたちに、もっとアル・グリーンのことを知ってほしい。彼の偉大さをわかってほしい。そうすれば僕自身のことも日本の若い人々からもっと評価されるはずだ。」という切なる願いだ。
この僕の念願が、あるいは今度こそ叶うのではと思えるほどの一大トピックが最近舞い込んできた。9月に発売予定のアル師の新作アルバム。これの制作に、アル・グリーンを知らない今の若いHip hop/R&Bファンたちなら知らないはずがない、若手のスター・アーティストたちが参加協力しているという。制作総指揮がザ・ルーツのクエストラヴ、アンソニー・ハミルトン、アリシア・キーズ、ジョス・ストーン、ディアンジェロらが参加しているという。「そうかあ、そういえば彼らもインタビューとかで、アル・グリーンが好きだって言ってたもんなあ!嬉しくなっちゃうなあ!!とうとうやってくれたかあ!!」
よおし、これに呼応して僕もこれから活発化していくORITOの一連のライヴで、必ずアル・グリーンの曲を歌おう。僕なりにささやかにアル師の偉大さを讃えよう。
もしアル・グリーンが来日ツアーをするのなら、一晩だけでも前座をやりたいなあ。









